陸上養殖は自分でDIYをして始められる?準備するものやコスト面を解説

陸上養殖は自分でDIYをして始められる?準備するものやコスト面を解説

「最近話題になっている陸上養殖を、自分でDIYして始めたい!でも、できるのかな?」と疑問を感じていませんか。

自作するのが難しく感じる陸上養殖ですが、材料を用意すれば熱帯魚の飼育と同じようにできるといわれています。

今回は、陸上養殖を自分でDIYするときに準備するものやコスト面、さらに成功するためのポイントについてご紹介していきましょう。

目次

陸上養殖は自分でDIYをして始められる?

自分でDIYをして陸上養殖を始めることは可能です。

現在は、自宅の裏庭や会社の駐車場で陸上養殖を行なっている方もいるため、しっかりとした知識のもと自作すれば美味しい魚を食べられます。

一方で、たくさんの生き物を育てるからこそ、生育環境などについては勉強を進めていきたいところ。

育てる魚によって飼育環境は異なるので、DIYをする前にじっくりと調べておきましょう。

自分でDIYをして陸上養殖を始める前に!2つの方法をチェック

DIYに取り掛かる前に、陸上養殖は以下の2種類に分けられることを押さえておいてください。

  • かけ流し式
  • 閉鎖循環式

それぞれの特徴を押さえて、どんな陸上養殖を自作したいか考えていきましょう。

陸上養殖

かけ流し式

かけ流し式とは、海や川からポンプによって水を供給し、魚の入っている水に入れて養殖する方法のこと。(参照:水産庁

海や川の近くで陸上養殖を始めたい方は、検討できる方法かもしれません。

水槽内の汚れた水は定期的に排出されるので、環境問題に負荷はかかりますが、次でご紹介する閉鎖循環式より低コストで始められます。

閉鎖循環式

閉鎖循環式とは、飼育槽の水を浄化し、再度飼育槽に入れて養殖する方法です。(参照:水産庁

ろ過装置など、かけ流し式よりも必要なものは多いですが、立地条件は制限がなく、海域への負荷もかかりません。

また、海から病原体が侵入してくることも防げるうえ、温度調節が可能なので成長速度を早めることもできます。

陸上養殖の2つの方法について、より詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

陸上養殖を自分でDIYするときに準備するもの

こちらでは、場所を問わずに始められる閉鎖循環式のために準備するものをご紹介します。

  • 水槽
  • 循環ポンプ
  • 自作ろ過装置
  • 殺菌装置
  • 水温調節機

上記5つのものをチェックしながら、自分好みの陸上養殖を計画してみましょう。

水槽

まずは、魚を育てるために必要な水槽を用意します。

水槽は様々な種類が販売されているので、陸上養殖を始めるリッチや育てる魚などによって、適切なものを絞っていくのがおすすめです。

なお、ゴミが底に溜まってしまわないように、ろ過のしやすい水槽を探すとスムーズに陸上養殖を始められます。

循環ポンプ

循環ポンプは、水槽内の水をろ過装置などを通し、循環させるために必要なポンプです。

使用するのが海水の場合はサビに強い材質を選ぶなど、どんな魚を育てるかによって最適な循環ポンプを探していきましょう。

自作ろ過装置

閉鎖循環式で陸上養殖を行うには、ろ過装置が必須です。

ろ過装置を購入すると高額になるので、以下のような材料を揃えて作ってみましょう。

  • コンテナ
  • パイプ
  • ろ過ウール
  • バイオボール
  • 活性炭

コンテナにパイプの入る穴を開けた後、ろ過ウールやバイオボール、活性炭などを入れていきます。

後は、片方のパイプを水槽に、もう片方のパイプをポンプにつないで自作ろ過装置の完成です。

YouTubeにはわかりやすい動画がたくさん投稿されているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

殺菌装置

病原菌やウイルスなどを防ぐために、殺菌装置も用意しておきたいところ。

殺菌装置も高額なので、低コストで抑えたい場合はUVライトやステンレスパイプなどを組み合わせて自作するのも良いかもしれません。

殺菌装置は、使用方法を誤ると魚も殺してしまうことになるので、十分注意しながら設置していきましょう。

水温調節機

水温調節機も、陸上養殖で安定して魚を育てるために準備しておきましょう。

水温が高すぎたり低すぎたりすると、一気に魚が亡くなってしまい、今までの努力が全て泡になることもあります。

病気のリスクを回避するためにも、ぜひ水温調節器は検討してみてくださいね。

自分でDIYした陸上養殖。いくらかかる?

自分でDIYして陸上養殖をしたときの価格は、どんなものを使うかによってピンからキリまでです。

一方で、陸上養殖システムの開発・製造を手掛ける方によると、裏庭で行う少し大きめの水槽なら30~50万円ほど、60リットル水槽くらいのものであれば10万円以内で購入できるとのこと。

さらに、循環ポンプなどの用意すべきものや、エサ代・水道代・電気代などのランニングコストがかかります。

まずは、用意すべきものをリスト化し、予算を定めておくと安心でしょう。

自分でDIYをして、陸上養殖をするときのポイント

陸上養殖を自作して始める際には、以下2つのポイントを押さえておくことが大切です。

  • 育てやすい品種を選ぶ
  • エサの安全性を考慮する

それぞれのポイントについて解説していきましょう。

育てやすい品種を選ぶ

自宅などで陸上養殖を始めるときは、育てやすい品種を選ぶのがおすすめです。

水質や温度に気を使わなければいけない魚では、DIYで対応するのが難しいうえ、手間もかかってしまいます。

例えば、マスやコイ、ナマズやヒラメといった魚は、陸上養殖が初めての方でも取り掛かりやすいでしょう。

加えて、アフリカや西部アジアなどに生息する淡水魚のテラピアも、共食いをせず水質悪化に強い魚のため、おすすめです。

エサの安全性を考慮する

陸上養殖を行うときは、エサの安全性も考慮しましょう。

観賞用に飼育する魚と異なり、口に入れるものだからこそ配合飼料を使うなどの注意が求められます。

一方で、大分県佐伯市ではヒラメのエサにかぼすの果汁を混ぜ、鮮度を保つ効果や臭みが抑えられる効果が出ているそう。

自分で養殖するからこそ、とことんこだわり抜いて、理想の魚を育てていきましょう。

まとめ

今回は、陸上養殖を自分でDIYするときに準備するものやコスト面、さらに成功するためのポイントについてご紹介しました。

陸上養殖は、「かけ流し式」と「閉鎖循環式」の2種類に分けられますが、環境面や立地面の条件を考えると閉鎖循環式を選ぶのがおすすめです。

育てる魚の習性などをじっくり調べてから、最適な飼育環境を作っていきましょう。

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この記事を書いた人

経営者、JSA認定シニアソムリエ。高級レストランの運営、マーケティング、人材育成を10年。その後、水産の仕事に携わることで、食の源流から、加工、流通、お客様の口に入るまで一連の食の在り方を学ぶ。持続可能で、自然と共生しながら人を幸せにする「食」を追求。現在、自社植物工場と、渓流魚養殖、レストランを計画中。ぞろ屋合同会社代表。

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