国内で広がりつつある地産地消(ちさんちしょう)。
「意味はなんとなく知っているけど、取り組むメリットって何?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
地産地消を行なえば、消費者は安心して新鮮なものを食べられ、生産者はコストを削減できるなどのメリットがあるのです。
今回は、地産地消のメリットを消費者・生産者・地域と3つの観点から解説します。
記事の後半では、地産地消のデメリットについても触れるので、参考にしてみてください。
地産地消とは?
農林水産省では、地産地消とは「国内の地域で生産された農水産物を、その地域で消費すること」と公表しています。
近年、食料自給率の低下や食品の虚偽表示など、食に関する様々な問題が起こっているため、消費者と生産者の距離が近い地産地消の重要性が見直されているのです。
地産地消の例としては、以下のような取り組みが挙げられるでしょう。
- 直売所
- スーパーなどの地元食材コーナー
- 地元の農水産物を使った給食
- 地元の農水産物を利用した調理の講習会
なんとなく縁が遠いように感じる地産地消ですが、私たちの生活でも見かける取り組みも多くありますね。
地産地消のメリット3つ【消費者編】
消費者にとって、地産地消が行なわれるメリットは以下の3つです。
- 新鮮なものを食べられる
- 生産者の顔が見えて安心できる
- 食文化の理解を深めるチャンスになる
それぞれのメリットについて解説していきましょう。
新鮮なものを食べられる
地元で生産された農水産物が並べられれば、新鮮なうちに食材を食べることができます。
その日の朝に収穫された野菜は、スーパーで並んでいる野菜よりもフレッシュで甘く感じますよね。
また、地産地消が広まれば地元でとれた旬の農水産物も販売されるでしょう。
厚生労働省で、旬の食材はそれ以外の時期より栄養価が高いと公表していることからも、栄養価の高い食材が手に入るのはメリットの1つですね。
生産者の顔が見えて安心できる
地産地消は、生産者の顔が見えて安心できるというメリットもあります。
どんな人が作っているのかをしっかりと感じられるので、不安な気持ちを抱かず食品を購入できるのは魅力的ですよね。
直売所では、栽培に関するこだわりや、どんな食品なのかを紙に記載しているところもあります。
生産者の取り組みについて実感できる地産地消なら、より不安が軽減されて楽しく料理をすることができるでしょう。
食文化の理解を深めるチャンスになる
地産地消を行うことで、食文化の理解を深めるチャンスにもつながります。
例えば、直売所で生産者直筆の野菜に関する豆知識や美味しいレシピが書いてあったら、新しい知識を得ることができますよね。
レジで直接話をするときに、生産者からあっと驚くような食材の小ネタを聞くこともあるでしょう。
また、「私の地元ってこんな魚が獲れるんだ!」と知れるなど、地元の食文化を肌で触れる機会も期待できます。
地産地消のメリット3つ【生産者編】
生産者に関する地産地消のメリットは、以下の3つです。
- 消費者と直接つながれる
- 流通コストを削減できる
- 規格外のものも販売できる
消費者目線とは異なる3つのメリットについて、お話していきましょう。
消費者と直接つながれる
生産者が地産地消に取り組むと、消費者と直接つながれるという利点があります。
「〇〇があったらいいのに」「〇〇だったら買ったのに」など、消費者の生の声を聞くことができるので、今後のビジネスに役立てられるでしょう。
また、消費者と直接つながりを持つことができれば、信頼関係を築けるので差別化ができることも。
「Aさんの野菜は美味しいし、Aさんの人柄も良いからここでずっと買いたい」ということも起こり得るので、リピーター育成も見込めますね。
流通コストを削減できる
地産地消を行なえば、流通コストを削減することが可能です。
生産地域以外のところで農水産物を販売するには、どうしても流通コストがかかってしまい、その分手取りも少なくなってしまいます。
一方で、生産している地域内で消費することができれば、流通コストを抑えられるため、収益アップにつながるでしょう。
これにより、安定した生活ができるのはもちろん、新規事業など新たなビジネスチャンスに取り組むこともできます。
規格外のものも販売できる
地産地消を始めれば、規格外のものを販売できる機会も得られます。
一般的に、スーパーなどで農水産物を卸すときは、見た目が整っているなど規定にマッチしたものだけが選ばれるもの。
しかし、生産される農水産物は、形がいびつだったりなど規格外のものも多く存在します。
これまでは、規格外のものは生産者自身が消費するか、余ってしまえば捨てるしかありませんでした。
消費者との距離が近い地産地消を行えば、規格外のものも販売することができるので、廃棄される食料も減らせます。
地産地消のメリット2つ【地域編】
地産地消は、消費者や生産者以外に地域にとっても以下2つのメリットがあるでしょう。
- 地域が活性化する
- 環境への負荷を軽減できる
上記2つのメリットについて解説していきます。
地域が活性化する
地産地消は、地域を活性化するというメリットもあります。
生産地域で農水産物を消費するということは、今よりも地域の経済が循環するということ。
地産地消が盛り上がれば、求人も多く募集されるので、「働き口がない」といった悩みも解決へと向かうでしょう。
このように、他の地域へおんぶにだっこにならない、自給自足できる地域へと発展することができるのです。
環境への負荷を軽減できる
地産地消にトライすることで、環境への負荷も軽減することができます。
生産地域だけではなく遠い場所へ農水産物を届けようとすると、どうしても多くのエネルギーが消費されてCO2も発生します。
また、たくさんの人に食べてもらおうとすると、必要以上に海産物や農産物をとり過ぎてしまうことも。
地産地消に取り組めれば、エネルギー資源の節約やCO2の削減、さらに貴重な地球の資源を保護することも見込めるでしょう。
つまり、地産地消は国連総会で採択された「SDGs(持続可能な世界を実現するための目標)」にもつながる取り組みといえます。
地産地消のデメリットはある?
いくつものメリットがある地産地消ですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 生産者に様々なスキルが求められる
- 一定量の安定的な生産が難しい
2つのデメリットについて解説していきましょう。
生産者に様々なスキルが求められる
地産地消を成功させるには、生産者に様々なスキルが求められます。
今までは、農水産物を生産しスーパーなどに卸していた生産者が、直売所などで販売するためには「売上を出すためのスキル」や「販促スキル」などが必要になるでしょう。
安定した売り上げを出すためには、農水産物の生産以外に流通や販売面で手間がかかることがデメリットといえます。
一定量の安定的な生産が難しい
地産地消を行うには、一定量の安定的な生産が求められますが、これは簡単なことではありません。
土壌や気候などの影響で思っているように収穫できない場合もありますが、給食や外食、宿泊施設などに流通するのであれば、品目数や量を確保する必要があります。
一定量の安定的な生産は、地産地消を成功させるための課題といえるでしょう。
まとめ
今回は、地産地消のメリットを消費者・生産者・地域と3つの観点から解説しました。
では、改めてそれぞれのメリットを振り返ってみましょう。
【消費者におけるメリット】
- 新鮮なものを食べられる
- 生産者の顔が見えて安心できる
- 食文化の理解を深めるチャンスになる
【生産者におけるメリット】
- 消費者と直接つながれる
- 流通コストを削減できる
- 規格外のものも販売できる
【地域におけるメリット】
- 地域が活性化する
- 環境への負荷を軽減できる
様々なメリットのある地産地消に取り組んで、経済活性化や食料自給率の向上へ踏み出していきましょう。