世界では、食糧危機により8億2800万人の人々が飢餓に苦しんでいることをご存じでしょうか?
自然災害や貧困など、様々な原因によって十分に食事ができない状態が続き、栄養不足になりながら日々を送っています。
では、なぜこのような食糧危機がおこるのでしょうか。
今回は、食糧危機の原因5つと、私たちができる解決策について解説していきましょう。
食糧危機とは?
食糧危機とは、食べ物を十分に食べられず、栄養不足や飢餓状態(体調の維持が困難な状態)な人が増えていることです。
体が未発達な子どもを筆頭に、食糧危機による栄養不足が原因で多くの人が命を落としています。
国連の「世界の食料安全保障と栄養の現状2022(SOFI)」報告書では、飢餓人口が最大8億2800万人に上ることが公表されました。
SDGs(持続可能な世界を実現するための目標)でも、「飢餓をゼロに」という目標が立てられてはいますが、自然災害など様々な原因によって困難な状態が続いています。
食糧危機の実態
日本で生活しているとなかなか想像がつかないかもしれませんが、食糧危機は世界の様々な地域で起こっています。
例えば、アフリカでは日本の全人口を超える1億4,600万人もの人々が、食糧危機に陥っているのです。
また、アジアも世界的に見て飢餓人口の多い地域であり、気候変動から十分な食べ物を生産できないことなどが原因とされています。
実は、農林水産省によると穀物の生産量は28億トンを超えているため、世界の人々に平等に分配されれば十分に足りる量といわれているのです。
それにもかかわらず、深刻な食糧危機が起きている原因を次章から解説します。
食糧危機の原因5つ
食糧危機の原因として考えられるのは、主に以下の5つです。
- 自然災害
- 貧困
- 紛争
- 肥料価格の高騰
- パンデミック
では、それぞれの原因について解説していきましょう。
自然災害
自然災害は、食糧危機における大きな原因の1つです。
干ばつが続くことで食糧が育てられなくなったり、砂嵐によって農作物が砂で覆われ、収穫に支障が出たりなどは珍しくありません。
また、サイクロンの被害を受けて、せっかく実った作物が台無しになることも。
気候の影響で食糧危機が起きているマダガスカルでは、まとまった雨が降らなくなってサボテンの実しか食べられない日もあるといいます。
世界中で食糧危機に陥っている人達の8割以上は、自然災害が発生しやすい地域で生活をしているのです。
貧困
貧困によって、食糧危機が起きることもあります。
お金が十分になければ、生活するための食べ物を手に入れることができません。
自給自足をしようにも、農作物の種や苗、農機具なども買えずに、貧困を抜け出すための教育も受けられないでしょう。
また、せっかく作った食料も、お金がないことから適切な環境で保存できなかったり、市場への輸送手段がなかったりで腐らせてしまうことも。
貧困が原因で食料を安定して生産できず、食糧危機に陥ってしまうのです。
紛争
食糧危機は、紛争が原因で発生する場合もあります。
ウクライナ紛争では、ロシア軍によって畑が荒らされ、農作物を作る人々も戦争に行かなくてはいけないので、重度の食料不足に悩まされることに。
ロシアからの供給に頼っていた化学肥料なども輸入できないので、農業全体に大ダメージが与えられています。
せっかく収穫した作物も安易に輸出できないことから、ウクライナ・ロシアからの輸入で食料をまかなっていた国も食糧危機が引き起こされました。
赤十字国際委員会によると、小麦の9割超をウクライナ・ロシアから輸入していたソマリアでは、重度の急性栄養失調になる子どもが前年度と比べて5割近く増えているのです。
肥料価格の高騰
肥料価格の高騰も、食料危機の原因として考えられます。
化学肥料の需要が伸びて原料価格が上昇傾向にありましたが、さらにウクライナ紛争で高騰してしまいました。
これは、主産国のロシアやベラルーシからの供給が停止しているためです。
肥料価格が高騰すれば、農作物を育てるためのコストも上がるため、結果として食料価格も高くなります。
しかし、肥料の使用量を少なくすると収穫できる農作物も減るので、生産できる食料が少なくなることに。
この悪循環により、食糧危機がなかなか終わりを告げられないとされています。
パンデミック
食糧危機は、感染症が大流行して多くの患者を発生させる「パンデミック」も原因です。
パンデミックの代表例が、新型コロナウイルスでしょう。
新型コロナウイルスの蔓延によって、失業者が多数になり、今までの収入が激減した人は少なくありません。
このような状況で、食料価格が高騰している今、十分な食べ物を手に入れられず栄養失調になる人が余儀なくされているのです。
また、農作業に関わる働き手も少なくなったことで、農作物の生産性が低下し、食糧危機が巻き起こっています。
食糧危機の解決策とは?【今からできること3つ】
世界中で起こっている食糧危機を鎮静するために、私たちはどのようなことができるのでしょうか?
こちらでは、食糧危機の解決策として以下3つをご紹介します。
- 国際援助機関に寄付をする
- 食品ロスを減らす
- 備蓄食料を用意しておく
遠い国で発生しているように思える食糧危機ですが、食料自給率が低い日本でも、自然災害や世界の動向によって発生してしまうかもしれません。
世界への支援以外にも、自分たちの将来のために今から対策をしておきましょう。
国際援助機関に寄付をする
食糧危機のために、活動をしている国際援助機関に寄付をすれば、大きなサポートをすることができます。
例えば、国連WFPに寄付をすることで、自然災害などで食料不足になった人たちへの緊急支援や、学校給食の支援が可能です。
国連を筆頭に、様々な国際援助機関があるので、支持したい機関に寄付をしてみるのも良いかもしれません。
食品ロスを減らす
日本などの先進国で問題とされている、食品ロスを減らすのも、食糧危機のために効果的です。
食品ロスとは、本来食べられるものにも関わらず、捨ててしまう食品のこと。
食べ残しや賞味期限切れなどで廃棄する食品は、日本で約523万トンにも上るとされています。(令和3年度時点)
食べ物を廃棄するときは、温室効果ガスなどが排出されるので、異常気象などの原因にもつながるのです。
また、食べ物を生産するためには、水や土地など地球の資源を使うことから、食品を捨てることは資源を無駄にしてしまうことに。
必要な分だけ買い、適切に保存するなどで、食品ロスを減らしていきましょう。
備蓄食料を用意しておく
もしものときのために、備蓄食料を用意しておくのもおすすめです。
自然災害でライフラインが止まってしまったら、なかなか食料を獲得することが難しくなります。
パックご飯やインスタント麺など、長期間常温で保存できるものを備えておけば安心ですよ。
まとめ
今回は、食糧危機の原因5つと、私たちができる解決策について解説しました。
現在、世界の各地で起こっている食糧危機は、以下5つの原因によるものと考えられます。
【食糧危機の原因】
- 自然災害
- 貧困
- 紛争
- 肥料価格の高騰
- パンデミック
食糧危機の解決策としては、寄付をして世界を援助する以外にも、食品ロスの削減や備蓄食料の用意なども効果的です。
今からできることを行い、食糧危機の緩和を目指していきましょう。