「食糧危機と食品ロスって、どんな関係があるの?」と疑問に思う方は多いでしょう。
今回は、食糧危機と食品ロスの関係性や、食品ロスの対策についてご紹介します。
さらに、食品ロスの問題点や原因などについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
【食糧危機につながる問題】「食品ロス」ってなに?
食糧危機につながる問題「食品ロス」とは一体どんなものなのでしょうか。
こちらでは、食品ロスとは何かということや、食糧危機との関係性について解説していきます。
食品ロスとは
「食品ロス」とは、本来食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食品のこと。
現在、家庭で発生するもの以外にも、食品製造や外食などで大量の食べ物が捨てられています。
農林水産省のHPによると、日本では1年間に約612万トン、世界では13億トンもの食品が捨てられているそうです。
このような食品ロスには、「食品が捨てられてもったいない」というだけでなく、環境に悪影響を及ぼすという問題もあります。
食品の廃棄物は、ゴミとして焼却する際に大量の二酸化炭素を排出し、地球温暖化の要因にもなるため、できることから対策する必要があるのです。
次に、食品ロスが「食糧危機」とどう関係しているかを解説していきます。
「食糧危機」と「食品ロス」の関係性
世界では深刻な「食糧危機」が起きていますが、一方で食品ロスも発生しています。
これは、食糧を必要としている人に供給されていないのに、消費できなかった食品が世界のどこかで捨てられている状態だということです。
国連WFPのHPによると、世界で90万人以上は深刻な食糧不足で生き延びるために日々闘っているとのこと。
世界の人口はこれからも増え続けることが予想されており、食糧危機はより大きな問題へと発展していくでしょう。
食糧危機を改善していくためにも、食品ロスを減らすことが重要とされているのです。
また、食糧危機が起こる原因としては、食品ロス以外にも以下のようなものが挙げられます。
- 気候変動
- 紛争
- 経済危機
気候変動によって自然災害が起きると農作物の収穫に影響を及ぼすうえ、紛争が原因で食糧の生産ができないという場合も。
加えて、経済危機に陥っている人々は食糧を輸入できないため、食糧不足につながることも珍しくないでしょう。
食品ロスが発生する原因
食品ロスが発生する原因は、先進国と途上国で2つのパターンがあります。
では、それぞれの原因について詳しく解説していきましょう。
先進国における食品ロス発生の原因
先進国における食品ロス発生の主な原因は、「消費できない大量の食品を生産してしまうこと」。
消費者から購入されずに売れ残った食品は、店舗ごとの量が少なかったとしても、全店舗を合計すると大きな食品ロスになります。
また、生鮮食品の見た目が良くないというだけで販売されず、捨てられてしまうケースも多いです。
そのうえ、先進国は金銭的に余裕のある人々が多いため、「食品が余ってしまったら捨てる」という判断ができる点も食品ロスにつながっています。
途上国における食品ロス発生の原因
途上国における食品ロス発生の原因としては、「食品を保存する設備が整っていないこと」が挙げられます。
食糧を生産したとしても、適切に冷蔵保存できる設備がなかったり、衛生的な保管ができなかったりして食品ロスが発生してしまうのです。
また、道路の整備がされていないことから輸送に時間がかかり、食品が悪くなってしまうのも珍しくありません。
途上国の場合、先進国と違って設備やインフラが整っていないため、消費者に届く前に食品の廃棄が大量に発生しているといえますね。
【食糧危機対策1】食品ロスを防ぐ方法
食品ロスを防ぐ方法として、以下のようなことが挙げられます。
- 食品の仕入れ量を見直す
- 見た目に関係なく食品を消費する
- 設備やインフラを改善する
各店舗ごとに食品を仕入れすぎないようにしたり、見た目の良くない食品も加工したりなどの対策が可能です。
また、途上国では食品保存設備やインフラを改善させることで、食品ロスを大きく減らせるでしょう。
この他にも、世界では食品ロス対策として様々な取り組みがされています。
例えば、アメリカでは学校給食で苦手な食べ物をシェアできる仕組みがあり、フランスでは売れ残った食品を寄付する制度があるなど、各国が食品ロス対策に動いているのです。
【食糧危機対策2】私たちができる食品ロス対策
食糧危機を改善させるため、私たちができる食品ロス対策は以下の5つです。
- 食品を買いすぎない
- 食べられる分だけ調理する
- 賞味期限や消費期限に注意する
- 外食で注文しすぎない
- フードドライブを活用する
ここからは、私たちが普段できる食品ロス対策5つを解説します。
食品を買いすぎない
私たちができる食品ロス対策として、必要以上に買いすぎないというやり方があります。
例えば、スーパーへ買い物に行く前に冷蔵庫を確認すれば、適切な量の食品を購入できますね。
1人暮らしなどで食品を使い切るのが難しい場合は、少量パックを買うといった対策も考えられます。
また、すぐに食べる予定の食品は、賞味期限が短いものを選ぶことで、スーパーの食品廃棄を減らせるでしょう。
食べられる分だけ調理する
食品ロスを減らすためにも、食べられる分だけ調理しましょう。
もしも、料理が残ってしまった場合は、適切な保存方法で冷蔵して早めに食べるようにすると良いですね。
また、食材の食べられる部位を捨てないようにするのも食品ロス対策になります。
かぼちゃの種や大根の葉など、捨ててしまいがちな部位も、美味しく食べられるレシピを参考に調理してみてはいかがでしょうか。
賞味期限や消費期限に注意する
家にある食品の賞味期限や消費期限に注意しましょう。
冷蔵庫や棚に入っている食品の賞味期限や消費期限を忘れないように、期限順に手前から並べておくという方法がおすすめです。
食べきれず冷凍庫にしまった食品も、期限をわかるようにしておくことで食品ロスを防げるでしょう。
外食で注文しすぎない
外食で注文しすぎないというのも大切なポイントです。
食べきれる量を注文し、もしも食べ残してしまったら「ドギーバッグ」などの繰り返し使える容器を活用して、家に持ち帰るのもありでしょう。
また、宴会のときに料理が残ってしまうことも多いので、「20・10・0(にーまる・いちまる・ゼロ)運動」を実践するのがおすすめ。
新潟市のHPにも紹介されている「20・10・0運動」とは、宴会開始後20分間は席を離れず食事を楽しみ、終了前10分前に席に戻り料理を食べることで、食べ残し0を目指す方法のことです。
最後まで食事を楽しむことができれば、宴会もさらに良い思い出になりますね。
フードドライブを活用する
食品ロスを減らすため、「フードドライブ」を活用してみましょう。
フードドライブとは、家庭で余った食品を寄付する活動のことで、寄付された食品は食べ物を必要とする団体へ配られます。
どうしても調理しきれなかった食品や余ってしまった食べ物などがあれば、フードドライブを実施している団体へ寄付してみましょう。
【食糧危機対策3】日本政府が行っている食品ロス対策
日本政府は、2030年度までに食品ロスを2000年と比べて半減させる目標を立てています。(農林水産省HPより)
具体的に、食品ロスの対策として設けた法律は以下の2つです。
- 食品ロス削減推進法
- 食品リサイクル法
では、上記2つの法律について解説します。
食品ロス削減推進法
食品ロス削減推進法は、2019年10月1日に施行された法律で、食品ロスを減らすために国や地方公共団体がどう取り組んでいくかを定めたものです。
例えば、地方公共団体は事業者と協力して、リーフレットの作成や配布などの活動を行い、食品ロスの啓発に取り組んでいます。
食品リサイクル法
食品リサイクル法は、売れ残りや食べ残した食品を処分する量を減らしたり、リサイクルしたりするなどの方針を定めた法律です。
食品ロスの多い事業者は、食品廃棄物の量や対策の取り組みに関して、政府に報告しなければいけないといった義務もあります。
まとめ
今回は、食糧危機と食品ロスの関係性や、食品ロスの対策についてご紹介しました。
世界では食糧危機に苦しんでいる人が多いにも関わらず、食品ロスは大量に発生しているのが現状です。
食べ物を無駄にせず、必要な人に供給していくためにも、各国の取り組みが大切になってくるでしょう。
私たちにできることも数多くあるため、日々の生活の中で食品ロスを減らせるように心がけていきたいですね。