令和六年元日、石川県能登半島を震度7の地震が襲いました。徐々に明かされる被害の甚大さに、改めて自然災害の脅威を感じた人も多いでしょう。
能登半島地震では、道路の亀裂や陥没、液状化、土砂崩れなどが多発し、多くの集落が孤立状態となりました。そのため、救助活動や救援物資の輸送が困難となりました。
自然災害の恐ろしさとともに、そうしたいつ襲ってくるか分からない災害に対する備えの大切さを実感したのではないでしょうか。災害時の家庭での備え、なかでも明日の命を繋ぐ食料は欠かせません。
また、自然災害だけでなく、日本は食料供給の多くを海外に依存していることから、不安定な世界情勢次第では食糧危機に陥ることも絶対にないとはいえません。
非常時のために食料を備えることの重要性は年々高まっているといえます。
そこで、今回は将来をふまえたうえで備蓄におすすめの食料をご紹介します。
備蓄する食料の選び方やポイントについても解説するので、参考にしてみてください。
備蓄する食料の選び方5つ
備蓄する食料を選ぶときは、以下5つの項目を意識するのがおすすめです。
- 好きなものを選ぶ
- 長期間保存できるものを選ぶ
- 常温で保存できるものを選ぶ
- 家族が安心して食べられるものを選ぶ
- 栄養面に配慮して選ぶ
では、5つの選び方について解説していきます。
好きなものを選ぶ
備蓄する食料は、普段とは違う非常事態で食べられます。そのような非日常のもとで食べるものだから、味の好みなどは二の次と考える人もいるでしょう。
けれども非常事態だからこそ、普段自分がよく食べている味、好みのものを食べることで、お腹を満たすだけでなく、心を満たし、心に落ち着きや冷静さを取り戻すことが大切です。
また、好みの味だったりいつも食べ慣れていたりするものなら、災害の被害などのショックにより食欲がないときにも食べやすくなります。なるべく普段の味、好きなものを選ぶのが良いでしょう。
加えて、できるだけストレスを増やさないように、様々な種類の食料を用意しておくと、飽きずに非常時を乗り切れるでしょう。
長期間保存できるものを選ぶ
賞味期限が短いと、いざ必要となったときに対応できません。日ごろからこまめにチェックすることも大切ですが、忙しい日々ではなかなか行き届かないのが現状です。
できるだけ長期間保存が可能なものを選んでおくのが望ましいでしょう。
備蓄食料の用意する量は最低でも3日分、大規模災害を想定するなら1週間分×人数分がベストです。
地域によっては、道路状況などにより災害支援物資がなかなか届かなかったり、近隣のスーパーやコンビニは早々に品切れ状態となることや、ライフラインの復旧が遅れる事態なども考えられます。住んでいる地域のハザードマップなどを確認して、地域の状況に応じて1週間か2週間分の長く保存できる食料を備蓄しておくと良いでしょう。
常温で保存できるものを選ぶ
備蓄食料を購入するときは、常温で保存できるかも重要なポイントです。
今は、手軽に食べられる冷蔵・冷凍食品も多いですが、非常時には電気が使えなくなってしまうことも考えられます。
電気の供給が止まれば冷蔵庫も使用できなくなるため、どんなときでも食べられる常温保存可能な食料を備蓄しましょう。
家族が安心して食べられるものを選ぶ
家族と一緒に住んでいる方は、それぞれの人にあった備蓄食料を用意しておくのがおすすめです。
以下のポイントを押さえれば、家族みんなが安心できますよ。
- 乳幼児に適した食料はあるか
- 高齢者に適した食料はあるか
- アレルギーに適した食料はあるか
乳幼児がいる場合は、ミルクや離乳食の備えを忘れずに準備しておきましょう。
一方、高齢者の場合は、体力が落ちたときなどにも食べられそうなレトルトの介護食品を活用してみてください。
また、非常時にアレルギーに対応した食料は手に入りづらくなるため、今から適したものを備蓄しておくと良いですね。
栄養面に配慮して選ぶ
備蓄食料と聞くと、どうしても炭水化物を中心に集めがちですが、ここはぜひ栄養面に配慮してバランスの良いラインナップを揃えておきましょう。
五大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル)のうち、不足しがちなのがたんぱく質、ビタミン・ミネラルです。たとえば、サバやイワシなどの魚の缶詰、大豆のパウチパック、乾物の高野豆腐などでもたんぱく質はとれます。ビタミンはドライフルーツ、ミネラルは乾物の海藻類や煮干し、小魚チップスなどがあれば栄養不足を補えるでしょう。
大人も子どもも、普段とは違う環境ではどうしても体調を崩しやすくなります。栄養バランスのとれた備蓄食料のラインナップを意識してみてください。
おすすめ!備蓄にぴったりの食料6選
備蓄におすすめの食料は、以下の6つです。
- パックご飯
- インスタント麺
- フリーズドライスープ
- レトルト食品
- 缶詰
- お菓子
では、それぞれの食料についてご紹介していきましょう。
パックご飯
日本人の主食でもあるパックご飯は、必ず用意しておきたい備蓄食料の1つ。
いつも食べなれているパックご飯なら、食欲が落ちてしまっても口に入れやすく、不安を薄められるでしょう。
電子レンジが使えなくても湯煎をすれば温められるうえ、チャーハンにしたりレトルト食品と組み合わせたりで幅広いメニューを楽しめます。
インスタント麺
お湯を注ぐだけで温かい食事を楽しめるインスタント麺も、備蓄食料としておすすめです。
醤油や味噌、豚骨など様々な種類の味があるため、家族の好みにも合わせやすく飽きもこないでしょう。
警視庁によると、インスタント麺はお湯ではなく水を注いで15分待つことでも食べられるとのことで、ガスを用意できないときにも活躍しそうです。
フリーズドライスープ
フリーズドライスープとは、食品を急速に凍結し、乾燥させて作ったスープのこと。
お湯を注ぐだけで温かいスープを飲むことができるので、もう一品何か食べたいというときにもぴったりです。
また、製法により熱に弱いビタミンなどの栄養素も残りやすいことから、具だくさんのものを選べば手軽に栄養補給も可能ですね。
軽くて小さいことから携帯しやすく、非常時の持ち運びも楽々です。
レトルト食品
様々なおかずをすぐに食べられるレトルト食品も、ぜひ用意しておきましょう。
レトルト食品は調理済みの製品が密閉されているので、実は温めなくても口にすることができ、非常時にも安心です。
カレーやシチュー、ハンバーグなどのおかずから、赤ちゃんの離乳食、やさしい味付けの介護食まで、多種多様なメニューが揃っていることから、家族それぞれの好みにマッチするものを選べるでしょう。
缶詰
缶詰は、完全密封して加熱殺菌を行なっているため、長期間保存できる食品です。
保存料といった食品添加物が使われていないことも多く、安全面を意識している方にもおすすめでしょう。
缶詰の中身は、魚や肉だけではなく、野菜や大豆、フルーツ、さらにスイーツやおでんなど調理済みのものも多数販売されています。
比較的安価なものも多いので、1週間分の備蓄をするうえでも経済的に優しい食料ですね。
お菓子
意外に思うかもしれませんが、お菓子も備蓄食料として用意しておくべきです。
非常時でいつもと異なる日々を過ごさなければいけないストレスも、美味しいお菓子を食べれば少しは気がまぎれるものです。
封を開けたらすぐに笑顔になれるお菓子は、子どもだけでなく大人にとっても非常時の大切な味方です。
チョコレートやクッキーなどカロリーの高いものなら、少ない量でもエネルギー補給をできるうえ、ドライフルーツといったビタミンが含まれているものなら、不足しがちな栄養面も補ってくれますね。
栄養面を気にするなら、健康補助食品のクッキーやケーキバーは大豆や大麦、玄米などを使ったものもあり、味もバリエーション豊かなのでおすすめです。マグロやサバ、アジなどの魚を使ったせんべいやチップスもカルシウムを手軽に摂取できるので便利です。
食料を備蓄するときのポイント
食料を備蓄するときは、以下2つのポイントを押さえておくとスムーズに進めることができます。
- ローリングストックなら始めやすい
- 「災害直後」「ライフライン復旧後」と2種類の状況を考える
では、それぞれのポイントについて解説していきましょう。
ローリングストックなら始めやすい
「食料を備蓄するのって、いろいろ考えなきゃいけなくて大変そう」と思っている方におすすめなのが、ローリングストックというやり方です。
ローリングストックとは、普段の食品を少し多めに買っておき、古いものから消費しながら足りなくなった分を買い足すという考え方です。
この方法なら、常に一定量の食品を意識せずに家庭に用意しておけるので、備蓄品の鮮度を保ちながらいざというときにも普段通りの生活ができます。賞味期限の心配、家族が普段食べているものの配慮もいりません。
普段の生活のなかで気軽に始められるので、これから備畜しようと考えている人にはおすすめです。
「災害直後」「ライフライン復旧後」と2種類の状況を考える
食料を備蓄するときは、「災害直後」「ライフライン復旧後」と2種類の状況に応じたものを備えておきましょう。
災害直後の場合は、すぐに避難をしなければいけないので、持ち運びがしやすくできるだけ加熱をしなくても食べられるものが求められます。
一方、ライフライン復旧後は、スーパーなどには食材がないかもしれませんが、電気や水は使えるようになるため手軽に調理をして食べられるものが良いでしょう。
2種類の状況に分けて食料を用意しておけば、非常時にも柔軟に対応できますね。
まとめ
今回は、備蓄におすすめの食料や選び方について解説しました。
では、あらためて備蓄におすすめの食料を以下にご紹介します。
- パックご飯
- インスタント麺
- フリーズドライスープ
- レトルト食品
- 缶詰
- お菓子
備蓄食料を購入するときは、「好きなものを選ぶ」「長期間保存・常温保存できるものを選ぶ」「家族が安心して食べられるものを選ぶ」「栄養面に配慮したものを選ぶ」という、この記事でお伝えした5つの選び方も参考にしてみてくださいね。