「植物工場を始めるか迷っているから、成功事例と失敗事例を知りたいな」と思っている方必見。
今回は、植物工場の成功事例と失敗事例、さらに植物工場を成功させる方法についてもご紹介します。
天候に左右されず計画的な栽培ができる植物工場は、ポイントを押さえておくことで黒字を狙えるビジネスです。
この記事の内容を参考に、植物工場を始めるか検討してみてください。
植物工場とは
植物工場とは、屋内で人工的に周年・計画生産ができる作物を栽培する施設のことです。
光や水の量など、環境を制御しながら栽培するため、安定した収穫量を確保できるメリットがあり、多くの関心が集まっています。
植物工場のメリットやデメリットについては、以下の記事で詳しくお話しているので、参考にしてみてください。
植物工場の成功事例5つ
こちらからは、植物工場の成功事例を5つご紹介します。
- NTT西日本(西日本電信電話株式会社)
- MIRAI株式会社
- 株式会社ベジ・ファクトリー
- デリファーム株式会社
- 株式会社スプレッド
実際の事例を参考にしながら、構想を練っていきましょう。
NTT西日本(西日本電信電話株式会社)
NTT西日本(西日本電信電話株式会社)では、いちごの周年栽培を手掛けています。
2018年から、異常気象や季節の影響を受けず、いつでも・どこでも・誰でも高品質ないちごを安定的に生産できるように試行錯誤してきたそう。
温度や光、水を制御し、いちごにとって最適な環境を整えることで、旬の環境で育てられるいちご「N.BERRY」を販売しています。
MIRAI株式会社
MIRAI株式会社は、農薬を一切使用せず、高品質な野菜の大量安定生産を実現した植物工場を運営しています。
複数の自社工場運営や海外市場における経験もあり、現在はパートナー企業へノウハウを提供するサービスも行なっているとか。
MIRAI株式会社の植物工場は、従来農業と比較すると土地面積あたり50-100倍の生産性を誇り、50分の1の水しか使用しないため、コスト面でも参考にしたいですね。
株式会社ベジ・ファクトリー
株式会社ベジ・ファクトリーは、完全人工光型・水耕栽培植物工場を運営している企業です。
高効率LED照明システムや大空間多段空調など、環境エンジニアリング会社ならではのプラント技術により、世界で唯一の結球レタス量産化を可能にしているのです。
さらに、植物工場の事業計画から施工、アフターメンテナンスまでも対応しており、今から取り組みたい方へのサポートも実施していますよ。
デリファーム株式会社
デリファーム株式会社では、希少価値の高い葉物野菜を植物工場で育てています。
無農薬で養液栽培した野菜は、料理をする人が使いやすいように、ひと口サイズにカットしてから袋詰めをしているそう。
お客様が欲しいタイミングや量を考慮して配送を行なうなど、ユーザー視点のサービスだからこそ、植物工場として成功を収めているのかもしれません。
株式会社スプレッド
株式会社スプレッドは、植物工場の技術開発と生産野菜の販売・普及を行なっている企業です。
2023年4月時点で約5,000店舗を展開しており、累計販売数は1億食以上と胸囲の実績を残しています。
研究開発・技術開発・商品開発と3つのチームが一丸となって取り組んでいるうえ、生産から販売まで全てを一元化していることが、競合優位性を築いているのです。
植物工場の失敗事例3つ
植物工場の目覚ましい成功を成し遂げている企業がある一方、以下のように失敗してしまった事例も存在します。
- 株式会社東芝
- 株式会社おおぎみファーム
- NKアグリ株式会社
植物工場を成功させるためにも、失敗事例をチェックしていきましょう。
株式会社東芝
株式会社東芝は、植物工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」を2016年に閉鎖しました。
計画では約3億円の売上を目指していたそうですが、想定よりも売上が伸び悩んでいたとか。
ただ、植物工場の運営によって得られた知見や経験を活かし、植物工場向け機器やシステム販売の工場ソリューション事業は、今後も継続していくことを公表しています。
株式会社おおぎみファーム
琉球新報では、沖縄県で植物工場を運営していた株式会社おおぎみファームが、2017年に解散したと公表されています。
レタスやハーブ類の出荷を本格化していましたが、安定した生産体制を確保できず、親会社が事業継続は困難と判断したそうです。
栽培していた植物は、付加価値が高いとして販売先を確保できていたため、注文に応じた生産が可能であれば成功事例になり得たかもしれません。
NKアグリ株式会社
NKアグリ株式会社は、2019年に自社が運営していた植物工場を閉鎖しました。
約4,000店ものスーパーへ作物を出荷していた一方、事業開始から赤字が続いていたことから、事業の撤退を決意したのです。
どうしても、植物工場には、ある程度の初期コストやランニングコストがかかるので、黒字を見込める事業計画が求められます。
植物工場を成功させるには?
一念発起して植物工場を始めるなら、大満足できる結果を残したいですよね。
こちらでは、植物工場の成功事例・失敗事例をもとに、以下の成功させるポイントをご紹介します。
- 長期的な事業計画を立てる
- 量産化に力を入れる
- 付加価値の高い野菜を作る
- 支援サポートを利用してみる
4つのポイントを参考にしながら、植物工場運営の準備を始めてみてください。
長期的な事業計画を立てる
初期コストの大きい植物工場だからこそ、営業黒字を達成するための長期的な事業計画を立てましょう。
「なんとなく流行りそうだし、やってみよう!」と始めるのではなく、最低でも3~5年分の事業計画は立てるべきです。
世界を視野に入れるかどうかも検討しながら、リスクを考慮した計画を練ってみてください。
量産化に力を入れる
植物工場を成功させるうえで、量産化のシステムを作ることも大切なポイントです。
たくさんの野菜を生産できれば、作物の単価を下げられるうえ、販売先も確保しやすくなります。
量産化に力を入れ、同じグループの輸送・物流システムを利用して納入するなど、効率的な販売方法も模索していきましょう。
付加価値の高い野菜を作る
植物工場で付加価値の高い野菜を作れば、競合企業から一歩抜き出ることができます。
腎臓病患者向けの低カリウムレタスや、生野菜が売れにくい冬に健康食品の原料生産など、ここでしか手に入らない作物を販売することで、成功へと近づけるでしょう。
ターゲット層を考慮しながら、野菜に対してどのようなニーズがあるのかリサーチしてみると、勝ち筋が見えてくるかもしれません。
支援サポートを利用してみる
植物工場を始めるのが不安な場合は、実現をサポートしてくれる支援企業の力を借りるのも良いでしょう。
事業計画からアフターメンテナンスまで対応してくれれば、1人手探りで進むよりも黒字営業が期待できます。
自社で植物工場の運営に成功しているなど、実績のある企業のサポートなら安心して任せられますね。
まとめ
今回は、植物工場の成功事例と失敗事例、さらに植物工場を成功させる方法についてもご紹介しました。
植物工場には初期コストがかかるなどの懸念点もありますが、入念に準備をすることで大きな売り上げも期待できます。
この記事でご紹介した成功事例・失敗事例や、「長期的な事業計画を立てる」などのポイントを参考に、競合に勝てる植物工場を運営していきましょう。