2050年の食料問題って何?不安視されている理由や国の取り組みとは

2050年の食料問題って何?

「2050年の食料問題が不安視されている」という話を聞いたことはありませんか?

普段、日本国内で生活していると実感がわかないかもしれませんが、人口増加に伴って食料需要も増大していることなどから、近い将来食べ物が不足するのではないかと危惧されているのです。

今回は、2050年の食料問題とは何かということや、不安視されている理由について解説します。

さらに、食料問題に向けた内閣府の取り組み「ムーンショット」や、一人ひとりができる解決策についてもお話していきましょう。

目次

2050年の食料問題とは?

2050年の食料問題とは、世界的に食料不足が発生するのではないかと危惧されていることです。

農林水産省によると、2050年に世界の食料需要量は、人口増加に伴って2010年比1.7倍になるといわれています。

2021年には、飢餓人口が最大8億2800万人にも上っているにもかかわらず、食料需要量が増えてしまえば、食べ物を十分に食べられない人がさらに増えるかもしれません。

限られた農地で作物を求められる量まで生産しなければいけませんが、気候の変動によっては満足な量を収穫できないことも。

この気候変動は、化学合成肥料や家畜から放出される温室効果ガス、食品ロスなどが原因であり、短期的な解決が難しいとされています。

2050年の食料問題が不安視されている理由

2050年の食料問題が不安視されている理由は、主に以下の2つです。

  • 世界的な人口増加と食料需要の増大
  • 気候変動

では、それぞれの理由について解説していきましょう。

世界的な人口増加と食料需要の増大

先ほどもお話したように、世界的に人口が増加していることによって、食料需要は増大しています。

2050年の世界総人口は2010年比1.3倍、食料需要は1.7倍にまで達することが予想されているのです。

現在、10人に1人が栄養不足といわれているなかで、人口の増加率よりもさらに食料需要が増えるのであれば、食糧危機も高まってしまうでしょう。

世界人口は低所得国を中心に増加すると考えられているので、食料不足がさらに発展してしまえば、食べ物の価格は高騰し、さらに十分な食事ができないことも起こり得ます。

気候変動

食料問題の原因として、気候変動も挙げられるでしょう。

日照りが続いたり雨の降る時期が遅れたりなど、農作物に対して理想的な気候ではない場合、十分な量を収穫できなくなってしまいます。

気候変動は、海洋の変化など自然的要因の場合もありますが、問題視されているのは人為的要因です。

農地を確保するための森林破壊や、家畜から発生する温室効果ガスなどによって、地球温暖化が進み、異常気象を引き起こしてしまいます。

気候変動を緩和させるためには、一人ひとりが環境問題・食料問題に意識を向け、取り組んでいくことが求められるでしょう。

2050年の食料問題に向けた取り組み「ムーンショット目標5」

2050年の食料問題に向けて、内閣府が掲げている取り組みが「ムーンショット目標5」です。

こちらでは、ムーンショット目標5とは何かということや、具体的な取り組みについて解説しましょう。

ムーンショット目標5とは

ムーンショットとは、非常に困難を伴うものの達成できれば壮大な結果を生み出す計画のことです。

内閣府は、未来社会の展望を切り拓くために「ムーンショット型研究開発制度」と称した研究開発を推奨しています。

この開発には9つの目標が立てられており、「ムーンショット目標5」は「2050年までに、未利用の生物機能などのフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出」です。

簡単に要約すると、食料需要量の増加に対応できるように、本来の生物・自然循環機能を取り戻し、食品ロスの削減をなくすことが目標とされています。

【取り組み1】完全資源循環型の⾷料生産システムを開発

ムーンショット目標5の取り組みとして、「完全資源循環型の⾷料生産システムを開発」が挙げられます。

この目標に向けて、化学農薬に依存しない害虫駆除や、メタン削減と生産性向上の成立など、様々なプロジェクトが進んでいるのです。

90億人が美味しく食べ続けられる社会を理想に掲げ、有限な地球資源の循環利用へ奮闘しています。

【取り組み2】合理的な⾷料消費を促す解決法を開発

ムーンショット目標5では、「合理的な⾷料消費を促す解決法を開発」についても取り組んでいます。

食品廃棄物を活用した昆虫の食品化・飼料化や、最適栄養価食品の開発など、名だたる研究機関が日夜課題の解決に向けて励んでいるのです。

日本で食料問題は起きるのか?

2050年、今よりもさらに食料が不足すると考えられていますが、果たして日本でもその影響は起こるのでしょうか?

結論としては、日本の食料問題として大きな心配をすることはなくても、突発的に起こる可能性のある危機には備えておくことがおすすめです。

2008年食料危機は、世界的にも大きな問題になりましたが、国内で満足に食べ物を買えないと感じた方はいないでしょう。

しかし、日本は食料の多くを海外からの輸入でまかなっているので、例えば日本周辺で紛争が起きれば、食料を積んだ船は近付けず食料危機に陥るかもしれません。

万が一のためにも、日頃から長期保存できるインスタント食品などの食べ物を、備蓄しておくと安心ですよ。

2050年の食料問題に向けて私たちができること

2050年の食料問題に向けて、私たちができることを3つ挙げてみました。

  • 食品ロスを少なくする
  • 環境負荷の小さい食料を選んでみる
  • 地産地消に取り組んでみる

では、それぞれについて解説していきましょう。

食品ロスを少なくする

まずは、ついつい行ってしまう食品ロスを減らしてみてください。

うっかり賞味期限を切らしてしまったり、多く作りすぎて残してしまったりなど、家庭では様々な理由から食品を廃棄することがあるでしょう。

ただ、廃棄された食品は、処理する際にCO2を排出するうえ焼却後に灰を埋め立てることから、環境に大きな負荷がかかってしまいます。

「買い過ぎない」「作り過ぎない」「注文し過ぎない」を押さえて、食品ロスに取り組んでいきましょう。

環境負荷の小さい食料を選んでみる

環境負荷の小さい食料を選んでみるのも、食料問題対策として考えられます。

例えば、お肉ではなく大豆から作られる「大豆ミート」は、牛のげっぷであるメタンガスを発生させずに生産できるため、環境に優しい食べ物として注目を集めていますね。

また、動物の細胞から作る「培養肉」も、完成すれば環境破壊を抑制できると話題になっています。

いつもと異なる食材を手に取ることに抵抗のある方もいるかもしれませんが、一人ひとりが行動することは、食料問題の改善へとつながるでしょう。

地産地消に取り組んでみる

地元で生産されたものを地元で消費する「地産地消」に取り組むこともおすすめです。

生産された地域で消費できれば、食物の輸送距離が短くなり、エネルギー資源の節約やCO2の削減が期待できます。

他にも、地産地消には「新鮮なものを食べられる」「生産者の顔が見える」など様々なメリットがあるので、チャレンジしてみてくださいね。

まとめ

今回は、2050年の食料問題とは何かということや、不安視されている理由について解説しました。

2050年、世界の人口増加に伴い、食料需要量は2010年比1.7倍になるといわれています。

内閣府は「ムーンショット目標5」を掲げていますが、より改善へと進ませるには一人ひとりが少しでも対策することが大切です。

この記事でご紹介した内容を参考に、食料問題について今一度意識してみてくださいね。

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この記事を書いた人

経営者、JSA認定シニアソムリエ。高級レストランの運営、マーケティング、人材育成を10年。その後、水産の仕事に携わることで、食の源流から、加工、流通、お客様の口に入るまで一連の食の在り方を学ぶ。持続可能で、自然と共生しながら人を幸せにする「食」を追求。現在、自社植物工場と、渓流魚養殖、レストランを計画中。ぞろ屋合同会社代表。

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