食糧危機によって投資への関心が高まっています。
人口増加や地球温暖化などの影響で食糧不足が深刻化している現在、食糧危機の解消に期待されている市場規模が拡大しているのです。
では、どのような市場・事業に投資への感心が寄せられているのでしょうか。
今回は、食糧危機によって投資への関心が高まっている理由と、食糧危機の懸念から選ばれる投資先10選をご紹介します。
さらに、食糧危機対策のため投資が拡大しているビジネスについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
食糧危機によって投資への関心が高まっている理由
食糧危機によって投資への関心が高まっている理由は、主に以下2つです。
- 食糧不足でも食糧関連企業の業績は比較的安定している
- 深刻な食糧不足により食糧関連企業への需要が高まる
「なぜ食糧危機の懸念が投資につながるの?」と考える方もいるかと思いますが、実は関連性があります。
それでは、上記2つの理由について解説していきましょう。
食糧不足でも食糧関連企業の業績は比較的安定している
食糧不足の状況下でも、食糧関連企業の業績は比較的安定しやすいといえます。
なぜなら、食糧不足になって原材料の価格が高騰しても、人は生きるために食べ物を購入するからです。
例え食品の販売価格を上げたとしても、生活をしていくためには買わざるを得ませんよね。
これは、インフレが進んでいる状態でも当てはまります。
経済産業省のHPでも記載されていますが、近年世界的にインフレの高進が起きています。
インフレが起きて原材料価格が上がったとしても、食糧不足のときと同じように必要不可欠な食品に関係する企業の業績が安定しやすいといえますね。
深刻な食糧不足により食糧関連企業への需要が高まる
深刻な食糧不足が懸念されると、食糧関連企業への需要が高まるともいえます。
というのも、食糧不足が危惧された場合、食糧問題を改善できそうな企業への感心が高まるためです。
ユニセフのHPによると、飢餓の影響を受けている人は、2021年に8億2,800万人に達したそうです。
これは、前年よりも4,600万人、2年前よりも1億5,000万人も増加していて、食糧不足の問題はどんどん深刻化しているといえるでしょう。
さらに、人口が増え続けていることや地球温暖化による食糧危機も問題になっています。
世界的に注目されている食糧危機だからこそ、解決策を提示する企業の成長が期待され、投資につながるのです。
食糧危機対策のため投資が拡大しているビジネス
食糧危機対策のために投資が拡大しているビジネスとして、「フードテック」という分野があります。
フードテック(FoodTech)とは、最先端のテクノロジーを駆使し、食に関する問題に取り組んでいく技術のこと。
例えば、代替肉や昆虫で作ったお菓子、飲食店のモバイルオーダーなど幅広い食に関するものが当てはまります。
このフードテックという分野は、食糧不足の問題を改善できると期待されており、投資額が増加しているのです。
農林水産省の「フードテックをめぐる状況」でも、「フードテック分野への投資が活発化しており、投資額は過去10年間で約10倍に増加している」と記載されています。
食糧危機の懸念から選ばれる投資先は?【10選】
食糧危機の懸念から選ばれる投資先10選は、以下の通りです。
- 培養肉
- 植物肉
- 完全栄養食品
- 昆虫食・昆虫飼料
- ゲノム編集食品
- アグリテック
- 陸上養殖
- スマートキッチン
- 鮮度維持
- 特殊冷凍技術
投資先の例として、上記10選を紹介していきます。
培養肉
培養肉とは、牛や魚といった動物の細胞から作る肉のことです。
作るために多くの動物を育てる必要がないので、食糧危機対策としての役割が期待できます。
培養肉についての詳細は、別の記事で解説しているので読んでみてくださいね。
植物肉
植物肉とは、大豆やこんにゃくなど植物由来の原料で作られている代替肉のこと。
食糧危機を救うともいわれている一方、ベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアンなど肉を食べない人にとっても魅力的な食品のため、世界的にも注目されております。
完全栄養食品
完全栄養食品とは、人が生きていくうえで必要な栄養をとれる食品のこと。
たんぱく質・必須脂肪酸・必須アミノ酸・ビタミン・ミネラルなどの栄養が含まれており、麺やパン、飲み物など様々な形で販売されています。
完全栄養食品は1つで必要な栄養をとれるうえ長期保存できることから、様々な食材を使用して調理するよりも食品ロスが削減できると期待されているのです。
完全栄養食品について、詳しく書いた記事もあるのでぜひチェックしてみてください。
昆虫食・昆虫飼料
昆虫食・昆虫飼料とは、昆虫の粉末などを材料に使用した食品や飼料のこと。
コオロギの粉末を使用したクッキーや、動物の飼料になるミールワームなどを製造することで、貴重なたんぱく質を供給しています。
ゲノム編集食品
ゲノム編集食品とは、遺伝子を書き換えることで生物本来の機能などを引き出した食品のこと。
GABAの含有量が5倍ほど増加したトマトや、成長率が高まったトラフグなどのことで、健康な食生活や持続可能な食糧供給に役立つと期待されています。
アグリテック
アグリテックとは、農業分野において活躍する機械やシステムのこと。
IoT・ビッグデータ・ドローンなどの技術を使って、人手不足を解消したり、効率的に農作物を育てられるようにしたりします。
陸上養殖
陸上養殖とは、陸上に人工的に創設した環境のもとで養殖を行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 養殖をする場所を選ばない
- 海洋汚染のリスクを防げる
- 健康的な魚を育てられる
陸上養殖なら、海から離れた市街地の近くで養殖することで、輸送コストや人件費の削減が見込めます。
また、養殖の際に排出されるエサの残骸を処分するため、海鮮汚染による生態系のバランス変化も防げると期待されているのです。
詳しくは、以下の記事でも説明しているので参考にしてみてください。
スマートキッチン
スマートキッチンとは、スマート家電を使って様々なことを可能にするサービス。
例えば、外出先でもスマホから冷蔵庫の中の状況を把握することで、買い忘れや買いすぎを減らせるサービスなどです。
適切な量の買い物が行えるようになることで、食品ロスの削減が期待されています。
鮮度維持
鮮度維持とは、食品の鮮度を保ち、傷まないようにすること。
例えば、「野菜・果物が発生するガスを吸着させて鮮度を保つポリエチレン袋」などがあります。
野菜の美味しい状態が保たれれば、「買ったものを置いておいたら傷んでしまった」ということも防げるでしょう。
特殊冷凍技術
特殊冷凍技術とは、食品の高品質な冷凍ができる技術です。
食品の細胞損傷を減らせるため、うまみ成分が流れ出すのを防いでくれるなどの効果があります。
この技術は、美味しい冷凍食品を作れるようになるだけでなく、これまで冷凍できなかった食品でも急速冷凍ができるようになるため、食品ロスの削減に期待されているのです。
まとめ
今回は、食糧危機によって投資への関心が高まっている理由と、食糧危機の懸念から選ばれる投資先10選をご紹介しました。
食糧危機に対して世の中の不安が高まっている近年、食糧関連企業に目が向けられています。
特に、投資額が過去10年間で約10倍に増加している「フードテック」は、食糧問題を改善させると期待されているのです。
フードテック分野といっても、培養肉・完全栄養食品・アグリテック・スマートキッチンなど、様々な事業があります。
食糧危機に直面していく中、これらのフードテックがどのように成長していくのか目が離せませんね。